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痛みのメカニズム

執筆者の写真: 飯塚 成伸飯塚 成伸

更新日:2019年9月28日

 今回は、痛みが出るメカニズムについてお話させていただきたいと思います。

そもそも「痛み」とは、脳が痛みという電気信号を患部に流すことで痛みを感じさせ、その患部を安静にさせようとしています。

痛みが出ることは異常なことではなく、体を守ろうとするために起こる防御反応なのです。


 ただ、痛みも正常な痛みと異常な痛みに分けられます。

正常な痛みとは、体に傷を負ってしまったり、強い外力で体の内部を損傷してしまったりした時に普通に出る痛みです。この痛みが出ないと体の危機的状況を知ることができないので、最悪の場合、死に至ってしまうこともあります。

異常な痛みとは、体の外部や内部に損傷がない場合に出る原因不明の痛みであり、その痛みの度合いや感じ方、痛む頻度、時間帯など、人それぞれ違います。


 もちろん、このような異常な痛みが全ての方に出現するわけではないのですが、異常な痛みを常日頃感じていたり、度々感じる方もいらっしゃいます。

ではなぜ、このような異常な痛みが出てしまうのでしょうか?

これは、前回のブログでもお伝えした「神経カバーの損傷」に関係してきていると言われています。


 まず、正常な痛みが出る仕組みについて詳しくご説明したいと思います。

 少し分かりづらいかもしれませんが、いわゆる健康な人がマラソンをしていたとします。

どんなに健康な方でも、走っている途中に膝に負荷がかかってくることがあるかと思います。この負荷を膝にある感覚受容器が感じ取り、感覚神経を介してその情報を脳に伝えようとします。

通常であれば、マラソンは楽しいスポーツでもあり、体をフルに活動させているので、心地よく感じるものです。

この楽しい感覚や心地よさを感じることで、脳の側坐核が刺激され、中脳からドーパミンというホルモンが分泌されます。

このドーパミンは視床下部に働きかけ、脳内モルヒネの分泌を促します。この脳内モルヒネは「気持ちいい、心地よい、幸せ」と感じた際に放出されるホルモンで、これが放出されると気持ちが良くなり、走ることに辛さを感じづらくなってきます。俗に言う「ランナーズハイ」と言われるものです。

脳内モルヒネは、膝から上がってくる情報量を少なくしてくれます。

そして脳は、その情報を基に「少し痛い」と感じます。

脳は痛みを感じると、その痛みを電気信号に変換して膝に流そうとします。その時に、「下行性疼痛抑制系」というものが働く場合があります。これは、俗に言う「火事場のクソ力」のことで、火事などの命の危険が高い緊急事態や競技中で勝利が目前に迫っている時に発動するものです。

必ず発動するものではありませんが、ゴールが目前に迫ってきたと仮定して発動したとします。

ここで分泌するホルモンは、脳が痛みを感じて変換した電気信号を和らげてくれます。

すると、膝に流れてくる電気信号は微量なものとなります。

そして、膝にある感覚受容器がこの微量の電気信号をキャッチして脳にその情報を伝えます。

この段階で脳に伝わる情報は微量なものになるので、この場合、脳は痛みをほぼ感じなくなっています。

もちろん、走り続けることで膝には負荷がかかっていますが、走るのをやめなくてはいけない程の緊急事態ではないので、この方は無事に完走できます。

これが、正常な痛みのメカニズムです。


 では、異常な痛みとはどのようにして起きるのでしょうか?

 同じく、いわゆる不健康な人(神経カバーが損傷している人)がマラソンをしています。

走っていると少なからず、膝に負荷がかかってきます。

そして膝の感覚受容器が負荷を感じ取るのですが、この方は神経カバーが損傷しており、電気信号が流れすぎてしまうため、過剰な情報を脳に伝えてしまいます。

ここで通常では、ドーパミンが分泌して脳内モルヒネが分泌することで、膝から上がってくる情報を少なくしてくれるのですが、このホルモンの分泌も上手く働きません。

すると、過剰な情報(過剰な電気信号)がダイレクトに脳に伝わるため、脳は「凄く痛い!」と感じてしまいます。

そして、痛みの感覚を電気信号に変換して膝に流すのですが、ここでもホルモンの分泌が上手く働かないので、過剰な電気信号がダイレクトに流れてしまうことになります。

膝はその過剰な電気信号をキャッチして、更に過剰な情報を脳に伝達することになりますので、この方は痛みを常に感じてしまうことから、完走は難しいと思います。


 これが、人それぞれ痛みの感じ方や辛さに違いがある理由でもあります。

故に自分の痛みを他人に理解してもらうのも、大変難しいことであります。

痛みとは脳で感じるもので、痛いところを治療してもなかなか良くなりません。

現代医学において、脳と神経に痛みの原因があることが分かってきたことで、脳と神経にアプローチする治療法が少しずつ出てきています。

 当院で行っている治療法(バイタルリアクトセラピー)も脳と神経にアプローチできる数少ない治療法の1つです。

病院で原因が分からなかったり、他の治療院で良くならないものも、当院の治療技術で改善に導くことが期待できると考えています。

 是非、お気軽にご相談してください。


 
 
 

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